オフィスに通勤せずに、自宅やサテライトオフィスなどで業務を行うテレワークが、今や当たり前の時代となりました。
仕事をする場所や時間にとらわれないため「通勤・移動時間の削減ができる」「育児との両立がしやすい」などの様々なメリットがある一方、「時間管理が難しい」「コミュニケーションが取りづらくなった」などのデメリットも挙げられています。
特に管理職・マネージャークラスの方にとって、「コミュニケーションロスによるチームワークの希薄化」は、頭が痛い問題なのではないでしょうか。一緒に働いているはずなのにチームワークを感じづらい環境が続くと、社員同士のつながりが薄くなり、会社への帰属意識の低下にも影響を及ぼしかねません。今回は、ブランディングの観点から、チームワークを保持し帰属意識の低下を防ぐ方法に注目してお伝えしていきます。
そもそも帰属意識とは?
帰属意識とは、“ある集団に自分が所属している”という意識のことです。つまり、「会社への帰属意識」とは、「自分はこの会社の一員なのだ」という意識のことを指しており、会社に対する「愛着」や「思い」と言い換えることもできるでしょう。近年では、社員と会社の強固な信頼関係を表す「エンゲージメント」という言葉で表現されることもあります。
帰属意識が高ければ高いほど、社員はこの会社のために役立ちたい・貢献したいと考え、働くモチベーションが上がります。優秀な人材の流出を防止し、安定した組織を維持できるため、結果的に業績アップも期待することができます。一方、社員の帰属意識が低下してしまうと、社員の働くモチベーションや生産性も低下。社員を会社につなぎとめるものが給料や福利厚生などの施策でしかなくなり、会社と社員の関係性が非常に脆弱なものとなってしまうのです。
インナーブランディングが帰属意識の低下を防ぐ
会社への帰属意識を向上させる施策として、「インナーブランディング」が効果的です。インナーブランディングとは、社員に対して企業理念や会社の目指すビジョンなどを浸透させ、会社のブランドに対する理解を促す活動のことです。社員一人一人が自社への理解を深め、共通の目標や意識を持って業務に取り組むことで、サービス向上や製品の品質向上につながります。インナーブランディングの上手い会社は、環境の変化にも強く、成長し続ける力を持つといえるでしょう。
インナーブランディングの進め方
ブランディングを実施する時点で、帰属意識がどの程度構築されているかにもよりますが、エフインクでインナーブランディングを行わせていただく際は、以下のような流れで進めるのが一般的です。
Phase1:現状調査
まずは、現在どのような企業理念やビジョンなどを設定しているのかを整理。その後、関係者(経営層/担当者等)へのヒアリングやワークショップを通して、現在の企業理念やビジョンに対する思いを洗い出し、企業の実態と照らし合わせて適切かどうか(改変の必要があるか)を判断します。
Phase2:企業理念などの開発/見直し
Phase1の結果を踏まえ、必要に応じて企業理念を新しく開発(もしくは見直し)を行います。
Phase3:浸透施策の実施
社員に対して、どうすれば企業理念等を浸透させることができるのかを検討し、施策を実行します。いくつか浸透施策の事例をご紹介します。
例1:ワークショプを実施する
社員同士で企業理念について話し合う機会を設ける方法です。企業としてのビジョンと、個人としての業務内容や目標とをリンクさせることで、企業理念の自分ごと化を促します。
例2:カードやポスターなどのツールを活用し身近なものにする
常に携帯できるカードや常に目に入る場所に掲示するポスター、イラスト付きのブックなど、企業理念を社員にとって身近な存在にするためのツールを製作する方法です。世界的に有名なのが、ザ・リッツ・カールトンホテルのクレドカード。リッツ・カールトンのスタッフは、会社の行動規範である「ゴールドスタンダード」がまとまったコンパクトなカードを常に携帯しています。特に、モットーとして掲げられている「紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です」というフレーズは特に社内に浸透しており、この言葉に誇りを持っているからこそ、スタッフたちはいつでも洗練されたサービスを心がけることができるそうです。
例3:人事評価と企業理念をリンクさせる
企業理念に沿った行動ができているかを個人の目標設定や人事評価制度に反映させる方法です。評価されるためにはどのような行動が必要か、社員が具体的に検討することで、それぞれの企業理念に対する理解を深めることができます。人事評価制度とは別に、社内表彰制度を設けるのも効果的でしょう。
Phase4:浸透状況の調査
ある程度施策を実施したところで、社員に対し浸透状況を調査します。定量的に比較したい場合は、施策の実施前と後で従業員アンケートを実施するなどの方法があります。
離れて働く時代だからこそインナーブランディングが重要
場所を問わず、離れ離れで働くことが常識となった今だからこそ、社員が会社への誇りを感じ、同じ目標に向かって行動するための強固な土台作りが重要です。
中長期的な視点で計画的にインナーブランディングを進め、帰属意識の低下を防止しましょう。